ついにやってしまいました。😅
FXツールであるドル円特化型相場分析【PHALANX V2】を独自開発してきました。
最初は観測網を強化すれば、私の裁量取引としての判断は揺るがないものになるではないか?とのことで様々なデータを用いて解析ツールを作ってきました。
宇宙戦艦ヤマトや機動戦艦ナデシコ、銀河鉄道999、不思議のナディアのノーチラス号 こういう艦隊SF戦記物大好物な私が自然に流れ着いて結局、自然な流れで、各観測網の名前が、戦術時空回廊とか、DZH防壁レーダー とか、多階層戦域地形図とか、超次元局地要撃兵器ファンネル Sniper RX、群衆テクニカル適応管制層とか、いかにも中二病全開なFXトレードツールを構築してきました。まぁ趣味と気合と根性でつくってきたが💦
しかし、それでも、人間の感情が邪魔をして裁量取引の邪魔をしている。損するときも得をする時もある。
でも損するときは取り返そうという気持ちの高まりからか、余計な取引をして損を拡大していく。
その相場の非常性と恐れが合いまり、人間の感情を取り除いて、自動売買化すれば、巷に流れるEA、インジケーター(遅行性のある)を使わずに、私が独自で作ったFXツールを使えば、優位性があるんじゃないかと考えAIエージェントを構築して精査したら、バグの嵐、バグ取りに賢明中。
私の中にある、中二病的艦隊戦記物+FXトレードシステム+トレードスタイルの変化を題材として、【宇宙戦記冒険譚SF】書けるんじゃないか?と思って実際書き上げたのが下記のもの。
まずは実験として一本仮として書き上げてみました。
まぁ私のわがままと趣味と実益とAIで私の妄想がどこまで具現化できるかを検証しようとした思い付きのアイディアです。
PHALANX THE ANIMATION 初期プロトタイプ/非正史。現在は世界観・人物設定を再構築し、正史版を制作中
てか、早くFXトレードシステム作れとケチ入れるのはナンセンス😂
ドル円特化型相場分析【 超次元要塞PHALANX 】
THE ANIMATIONエピソード1
「ファントム提督の野望」初期プロットを作ろうとした 大バカ野郎は私です
FXツール作成はどこ行った pic.twitter.com/NpnyKDhdSH
— 朝比奈枢 (@404WrSBMlXQzGct) September 15, 2026
ドル円特化型相場分析
【 超次元要塞PHALANX 】
THE ANIMATIONエピソード1
「ファントム提督の野望」映画予告編仕様にしてみました pic.twitter.com/lsRWY7LrNs
— 朝比奈枢 (@404WrSBMlXQzGct) September 17, 2026
第1話:0.03%のノイズ
プロローグ:荒波の護り手
宇宙は、決して静寂な凪の海ではない。
無数の星々を繋ぐ第4交易回廊。
暗黒の真空を縫うように走る淡い光の帯――天文学的な質量の富と物資が流れる『交易データストリーム』が、突如として赤黒く濁り、凶悪な渦を巻き始めた。
『局所的市場乱気流(フラッシュ・クラッシュ)』。
事前の予測モデルには存在しなかった、空間そのものが引き裂かれるようなエネルギーの奔流。
その暴力的な渦の中心に、五隻の民間輸送船団が為す術もなく呑み込まれようとしていた。
「メーデー! メーデー! 空間歪曲率が限界を突破!」
通信回線に、民間船の船長の悲鳴が混じる。
「メインエンジン停止! このままでは波に圧壊される……!」
ひしゃげる装甲。次々と明滅し、消えていくスラスターの光。
圧倒的な質量を持つ宇宙の濁流が、小舟のような輸送船を完全にすり潰そうと牙を剥いた、その刹那だった。
――ズズォォォンッ!!
空間を力ずくでこじ開けるような重低音が、真空の海を震わせた。 暗黒を割って、途方もなく巨大な影が滑り込んでくる。
それは、洗練された流線型の正規軍艦などではない。
幾重にも無骨な増加装甲が溶接され、歴戦の弾痕と泥臭い補修跡を全身に刻み込んだ、黒鐵(くろがね)の独立要塞艦。 その名を、PHALANX(ファランクス)といった。
「局所的歪曲波の収束点、特定完了。本艦の質量で波の軌道を逸らします」
艦橋(ブリッジ)の静寂の中、凛とした声が響く。
青く発光する戦術ホログラムの前に立つのは、濃紺の制服に身を包んだ若き戦術管制官、相沢クロノアだ。
彼女の指先がコンソールの上を滑るたび、何千もの生の市場シグナルが選別され、瞬時に最適解が弾き出されていく。
「多層防壁(カウンター・バリア)、自動展開。……推力補正、避難船団へのエネルギー流を変更します」
クロノアの恐るべき処理能力は、艦長の指示を待つまでもなく、防衛・回避のプロセスを自律的に完遂していく。
PHALANXの巨大な左舷から、シアンに輝くエネルギーシールドが一気に展開された。
民間船団を庇うように、宇宙の濁流を真っ向から受け止める。
凄まじい衝撃と火花が、虚空に弾けた。
艦全体が激しくきしむように振動する。
しかし、ブリッジの上段に立つ男――ジン・レイヴン艦長は、身を屈めることすらしない。
微かな人工重力に揺れる、裾のほつれた長いコマンドコート。左眼を覆う片眼戦術バイザー『RAVEN-EYE(レイヴン・アイ)』のレンズに走る微細な亀裂が、琥珀色の警告光を反射している。
「……クロノア」
レイヴンの声は低く、掠れていたが、荒れ狂う艦橋の騒音の中でも確実にクルーの耳に届く、現場の職人のそれだった。
「民間船に推進力補助データを回せ」
「了解。しかし艦長、この波の質量に対して本艦の出力では……」
「真っ向から押し返そうとするな」
レイヴンは、コンソールを睨むクロノアを制し、静かに宇宙を見据えた。
「逆らうな。波に乗せて、外へ逃がしてやれ」
クロノアの目が僅かに見開かれる。
中央の教本にはない、徹底して「生存」に特化した現場の判断。
「……退避ルート(エスケープ・ライン)送信。タイミング合わせます……今!」
クロノアがエンター・キーを叩く。 PHALANXの防壁が弾いた波の「余波」を帆のように受け、民間船団が一気に乱気流の外――安全宙域へと押し出された。
直後、標的を失い、行き場をなくした空間の歪みが嘘のように霧散し、宇宙に再び冷たい静寂が戻る。
『……脱出成功! 助かった……! ありがとう、PHALANX!』
ノイズまみれの通信機から、咽び泣くような感謝の声が届き、やがて途切れた。
再び青い光を取り戻した艦橋で、クロノアが小さく安堵の息を吐き、姿勢を正す。
レイヴンは無言のまま、RAVEN-EYEの光を警戒色から通常のシアンへと落ち着かせた。
勝利を誇るわけでも、己の力を誇示するわけでもない。
ただ、今日も艦と命を生還させたという事実だけを噛み締めるように、彼は暗い宇宙の深淵を見つめ続けていた。
第1章:日常の亀裂
荒れ狂う乱気流(フラッシュ・クラッシュ)を抜けた要塞艦PHALANXは、再び静寂な巡航状態へと戻っていた。
艦の頭脳であるコマンドブリッジには、メインフレームが発する低い駆動音だけが規則正しく響いている。
中央に鎮座する円筒形の巨大戦術ホログラム。
その青い光を浴びながら、相沢クロノアは真っ直ぐに背筋を伸ばし、展開された無数のウインドウに視線を走らせていた。
中央メインフレームから送られてくる『定時航路予測シナリオ』が同期されている。
中央司令部から送られてくる「100%安全な未来」へのレールを監視し、艦を正確にレールの上に乗せ続ける作業に集中していた。
「――先ほどの民間船団、指定の安全宙域への離脱を確認しました」
クロノアは手元のコンソールを操作しながら、背後へ向かって報告した。
「本艦の多層防壁(カウンター・バリア)のエネルギー残量、82%。次期航路の予測シナリオとの整合性、オールグリーン。現在、中央司令部の計画通りに航行中です」
しかし、背後からの返事はない。 代わりに聞こえてきたのは、カチリ、カチリという、硬質な金属が噛み合う響きだった。
クロノアが小さくため息をつき、視線を下へ落とす。
彼女が立つメインコンソールの足元。
その底面パネルが無造作に取り外され、そこからジン・レイヴン艦長の上半身が潜り込んでいた。
年季の入った濃紺のコマンドコートの袖をまくり上げ、左腕の指揮用ガントレットを外した素手で、スパナを握っている。
額にはうっすらと汗を浮かべ、物理配線の緩みを自らの手で締め直しているのだ。
「艦長」
クロノアは、少しだけ咎めるような響きを含ませて言った。
「基盤の物理的な保守作業は、巡回ドックの工員に委託すべきです。艦長の職務は、中央から届くシナリオを精査し、進行の承認(アプルーブ)を下すことのはずですが」
「……中央の綺麗な書類じゃ、現場のボルトの緩みまでは分からねえよ」
パネルの奥から、低く掠れた声が返ってくる。
「どんなに完璧な予測ラインを引いたところで、いざって時に舵が動かなきゃ、船は海の藻屑だ。自分の足元を確かめねえ奴から、真っ先に沈むんだ」
レイヴンは体を滑らせて起き上がると、油で汚れた手を布で無造作に拭った。
短い黒髪に混じるわずかな白髪。
右目の下には、抜けない疲労の影が張り付いている。
左眼を覆う片眼戦術バイザー『RAVEN-EYE(レイヴン・アイ)』のレンズには、過去の凄惨な戦いを物語る微細な亀裂が走っていた。
彼はその亀裂を直そうとはしない。
まるで、己への戒めとしてわざと残しているかのように。
「……非論理的です」
クロノアは、不満げに目を伏せながらも、傍らに用意していた保温マグを艦長へと差し出した。
「中央メインフレームが弾き出す予測整合率は99.97%です。ヒューマンエラーや物理的な事故の確率は、限りなくゼロに近い数字として既に排除されています。艦長が自ら工具を握る合理的な理由はありません」
レイヴンはマグを受け取り、黒い液体を一口煽った。
「その0.03%のゴミ箱の中に、人が生きる意味があるのさ」
彼はコンソールに寄りかかり、広大な宇宙を映し出すメインスクリーンを見上げた。
「『統計的に有意ではない』。そう言って中央のAIが切り捨てた端数のノイズ。……だがな、クロノア。その端数の中で泣いている奴や、死んでいく奴が確かにいる。先ほどの船団だって、中央の計算上は『最初から乱気流に巻き込まれるはずのない存在』だった。そうだろ?」
クロノアは唇を噛んだ。
確かに、先ほどのフラッシュ・クラッシュは中央の予測モデルには存在しない現象だった。
もしあのまま予測を信じて見過ごしていれば、五隻の船団は宇宙の塵になっていた。
中央の予測は、絶対のはずなのに。
その時だった。 ピピピッ、とクロノアの手元で微小な電子音が鳴った。 重大な警報ではない。
だが、クロノアが独自に構築しているPHALANXの局所観測網(Evidence Network)の末端に、奇妙な波形が引っかかっていた。
「……?」
クロノアの表情が引き締まり、視線がコンソールに吸い付く。
青く整然と流れていたホログラムの中に、赤く濁った微細なノイズがほんの一瞬、脈打つように混じったのだ。
「観測ネットワークに干渉パルス。未来解像度……0.03%低下」
レイヴンがマグを置き、鋭い視線をモニターへ向けた。
「中央のステータスは?」
クロノアの指先が高速で踊り、中央司令部のメインフレームへ即座に照会をかける。
返ってきたのは、見慣れた純白の『安全』のサインだった。
「中央メインフレーム照会……オールグリーン」
クロノアは、画面の表示と自分の手元の生データを見比べ、戸惑うように声を震わせた。
「中央からの返答は、『計器の経年劣化による環境ノイズ。統計的誤差の範疇につき、無視して予定航路を維持せよ』とのことです」
「無視しろ、だと?」
レイヴンの声の温度が、スッと数度下がった。
彼はRAVEN-EYEに軽く指を触れる。シアンに発光していたレンズが、微かな駆動音と共に警戒を示す琥珀色へと切り替わった。
「中央の机の上じゃ、まだ嵐の気配は見えねえらしいな。……クロノア」
「はい、艦長」
「中央のフィルターを全部外せ。綺麗なだけの予測線はいらん」
レイヴンは一歩前に踏み出し、艦長席(コマンドシート)から鋭く指示を飛ばした。
「本艦の全観測素子を最大感度に引き上げろ。ノイズだらけの生データ(SHADOW)を、お前のその目で直接見極めろ」
中央の「無視しろ」という指示を蹴り、目の前の管制官の「眼」を信じる。
その決断にクロノアは一瞬息を呑んだが、すぐに力強く頷いた。
「了解。……安全フィルター、全解除。生データ、可視化します!」
クロノアがキーを叩き込んだ瞬間、ブリッジを照らしていた美しい青いホログラムの予測線が、無残に砕け散った。
代わりに展開されたのは、禍々しいまでに赤黒く濁り、無数に枝分かれして千切れていく、混沌とした確率の波形。
――そして、そのノイズの海の最奥から、圧倒的な質量を持った『何か』が、急速にこちらへ接近しつつあった。
第2章:亡霊の問いかけ
美しい青のホログラムが砕け散った瞬間、コマンドブリッジの空気は一変した。
クロノアが中央の安全フィルターを解除し、観測網(Evidence Network)の生データを直接視覚化したことで、PHALANXのセンサーは隠蔽されていた「宇宙の真の姿」を容赦なく映し出した。
禍々しく赤黒く濁った確率の波。
激しく千切れ、無数に分岐していく混沌のタイムライン(SHADOW世界線)。
そして、そのノイズの奥底――空間の歪みを引き裂くようにして、それは姿を現した。
「……空間歪曲率、臨界を突破!」
クロノアの悲鳴に近い声と同時に、艦全体が軋むような激震に見舞われる。
照明が一斉に落ち、代わって真紅の非常灯が艦橋を毒々しく染め上げた。鳴り響く全艦警戒アラームの重低音が、クルーたちの腹の底を揺さぶる。
「未知のシグナル、実体化します! これは……艦隊!?」
メインスクリーンに映し出されたのは、幽霊船の群れだった。
所属不明、識別信号なし。
装甲は焼け焦げ、あちこちからプラズマの火花を散らした無数の廃艦の群れが、血のように赤い空間の歪みから次々と湧き出し、PHALANXを取り囲むように陣形を広げていく。
その群れの中央に座す、ひときわ巨大な旗艦。
ズザザァッ、と耳障りなノイズと共に、PHALANXの暗号通信が強制的にジャックされた。
巨大なメインスクリーンに、一人の男の上半身が映し出される。 漆黒のフード。
一切の感情を排した冷酷な鉄の仮面。
その奥で、二つの双眸だけが妖しく発光していた。
『久しいな、ジン・レイヴン』
凍りつくような低い声が、艦橋に響き渡った。
「幻影(ファントム)提督……!」
レイヴンは一歩も引かず、コートの襟を立てたままスクリーンを睨み据えた。
RAVEN-EYEの琥珀色の光が、険しく細められる。
「亡霊が何の用だ。また宇宙のゴミ溜めを這い回って、死人を集めているのか」
『私は死人ではない。中央が目を逸らした、不確実性(ノイズ)そのものだ』
鉄仮面の奥で、幻影提督は微かに笑ったように見えた。
『お前も随分と丸くなったな。中央の安全な予測に飼い慣らされ、飼い犬の首輪でもつけられたか』
「戯言を」
レイヴンが吐き捨てるように返す。
「俺の船は俺の意志で動いている。中央の綺麗な書類も、お前のような亡霊の妄言も信じちゃいない」
幻影提督の視線が、レイヴンから傍らのクロノアへとゆっくりと移動した。
『相沢クロノアと言ったな。若き観測士よ』
突然名指しされ、クロノアはビクッと肩を震わせた。
だが、すぐにエリートとしての矜持を取り戻し、背筋を伸ばして鉄仮面を睨み返す。
「……所属不明艦。直ちに通信ジャックを解除し、本艦の航路から退避しなさい。あなた方の存在は、中央の予測モデルに存在しない異常事象(バグ)です」
『予測モデル、か』
幻影提督は噛み含めるように呟いた。
『クロノア。ひとつ聞こう』
威圧的なその声に、クロノアは無意識に息を呑んだ。
『お前が先ほど観測した、0.03%の解像度低下。……その0.03%を、いったい誰が“ノイズ”と決めた?』
クロノアの思考が、一瞬だけ停止した。 何を言っているのか。
そんなことは自明の理だ。
「……中央司令部のメインフレームです」
クロノアは毅然として答えた。
「数千億のパラメーターを演算した結果、99.97%の整合性が確認されています。残る0.03%は、統計的に有意ではありません。システムを惑わすだけの、単なる環境ノイズです」
『そうか』
幻影提督は、ただ一言、酷く冷ややかに相槌を打った。
『では、なぜ中央は……それを観測することすら、お前たちに禁じた?』
「え……?」
『本当にただのノイズであり、統計的に無価値であるなら、フィルターをかけて放置すればいい。だが中央は、それを“見ること”そのものを禁止した。なぜだ?』
「それは……」
クロノアの唇が震えた。
中央は、ノイズを『処理しない』のではなく、『初めから無かったことにしろ』と命じてきた。
それはなぜか。エラーを許容できないからか。それとも――。
『気づけ、若き観測士。お前たちが信じているものは、未来などではない』
幻影提督の声が、呪いのように艦橋に響く。
『それは中央が都合よく組み上げた、巨大な箱庭の――』
「通信を切れッ!」
レイヴンの怒号が飛んだ。
クロノアが弾かれたようにコンソールを叩き、強制的に物理回線を遮断する。
メインスクリーンから鉄仮面が消え、再び赤黒い宇宙の惨状が映し出された。
「……艦長」
クロノアは震える声でレイヴンを見た。
彼女の胸の内に、強烈な疑念の種が蒔かれていた。
中央が嘘をついているのか。
それとも、あの亡霊が自分を惑わそうとしているだけなのか。
「聞く耳を持つな、クロノア。奴は恐怖を喰う寄生虫だ」
レイヴンは冷徹に言い放ち、再び前方を見据えた。
「奴が正義の味方なわけがねえ。――来るぞ」
その言葉を待っていたかのように、空間の歪みから現れた無数の幽霊艦隊が一斉に散開し、PHALANXの航路を完全に塞ぐ包囲陣形(キル・ゾーン)を敷き始めた。
各艦の砲門に、不気味な赤いエネルギーが急速に充填されていく。
それはもはや『0.03%のノイズ』などではない。
PHALANXの命運を問う、圧倒的で無慈悲な『現実』だった。
第3章:撃つな、そして『Cだ』
全天を埋め尽くす幽霊艦隊の赤い照準環が、一斉にPHALANXの巨体へと収束していく。
空間が悲鳴を上げるような高周波。敵の砲門に集まるエネルギーの総量は、小規模な星系を蒸発させるに足る規模に達していた。
「敵前衛群、射撃管制シークエンスへ移行!」
火器管制オペレーターが叫ぶ。
だが、相沢クロノアは取り乱していなかった。
中央の予測モデルが破綻し、得体の知れない恐怖が背筋を伝いながらも、彼女の指先は超高速でキーを打ち鳴らしていた。
――ピピピピッ、とコンソールが電子音を連続で奏でる。
『多層防壁(カウンター・バリア)、第二・第四層を自律励起』
『推力偏向ノズル、自動補正シークエンス開始』
『エネルギー配分、防御アレイへ84%移譲』
すべて、艦長の指示を仰ぐまでもない。
この艦において、あらかじめレイヴン艦長から委任されている「防御・回避・ダメージコントロールの即時執行権」の範囲内だ。
クロノアの超絶的な演算能力は、人間が声を出して命令を下す0.5秒の遅延すら許さず、最適解の防衛陣を瞬時に展開していく。
しかし、戦況の悪化はその自律権の限界をあっさりと越えた。
敵の先遣高速艦が三隻、空間の歪みをすり抜けてPHALANXの直前へと肉薄する。
射撃諸元が合致し、クロノアのモニターに赤いインジケーターが激しく明滅した。
「敵先遣艦、本艦の絶対キルゾーンへ侵入! 撃破確率、86.4%!」
クロノアが跳ね起きるように叫び、発火トリガーへ手を伸ばした。
「主砲、即時発射を推奨します!」
だが、その指先が触れる直前、コンソール全体が拒絶の警告音を鳴らし、真紅の文字列が彼女の眼前を塞いだ。
FIRE AUTHORIZATION REQUIRED — CAPTAIN
(主砲発射権限承認要求:艦長)
クロノアの手が止まる。
どんなに優秀なAIであれ、どれほど確実な撃破率であれ、他者を撃ち滅ぼす「不可逆の決断」だけは、機械の自律権には委ねられていない。
この艦の絶対原則――能力と権限の境界線。
引き金を引く資格と責任を持つのは、ただ一人、人間である艦長のみ。
「艦長、敵は目の前です!」
「撃たなきゃ、こっちが蒸発します!!」
ブリッジのクルーたちが悲鳴のような声を上げ、艦長席を見上げた。
艦橋を包む赤い非常灯の下、レイヴンは微動だにしなかった。
RAVEN-EYEのレンズ越しに、急速に迫る三隻の敵艦の背後――その奥にある暗黒の宇宙を、じっと見据えている。
張り詰めた静寂。
耳が痛くなるほどの緊張の中、レイヴンの唇がわずかに動いた。
「撃つな」
「艦長!?」
クロノアの目が信じられないというように見開かれた。
「なぜですか! 撃破確率は86%を超えています! これを逃せば、本艦の防壁は突破されます!」
「敵の配置を見ろ」
レイヴンの声は、凍りつくほどに静かだった。
「奴らの背後……退避回廊の出口に、先刻の民間輸送船団がいる。ここで主砲を撃ち込めば、圧縮された空間の反動波が回廊へ逆流する。……船団ごと、塵になるぞ」
クロノアの息が止まった。
目の前の敵を排除する計算式に囚われ、その後ろにある「守るべきもの」の存在が、彼女の視界から抜け落ちていた。
「それに」
レイヴンは静かに言った。
「撃たなかった弾で艦は沈まない。……焦って引いた引き金が、一番深く自分を刺すんだ。全火器管制、凍結。全エネルギーを防壁の収束へ回せ。……耐えるぞ!」
直後、敵先遣艦から放たれた集束ビームが、至近距離からPHALANXの舷側を直撃した。
――ドゴォォォォォンッ!!
凄まじい衝撃波が艦橋を薙ぎ払った。
天井から激しい火花が降り注ぎ、煙が充満する。耐震ダンパーが軋み、オペレーターたちが床に投げ出された。
激震の中、PHALANXの防壁は砕け散りかけながらも、致命的な直撃だけは辛うじて逸らしていた。
だが、代償はあまりにも大きかった。
ビビビッ、と途切れるような高音のノイズとともに、メインスクリーンの中央にあった白い通信インジケーターが、音を立てて消滅した。
WARNING: CENTRAL NETWORK UNREACHABLE
MARKET STRUCTURE COLLAPSE DETECTED
(警告:中央ネットワーク通信不能/市場構造の崩壊を検知)
中央司令部のメインフレームとのリンクが、完全に遮断されたのだ。
美しい秩序も、約束された100%の安全圏も、すべてが暗黒の宇宙へと溶けて消えた。
「中央回線、完全切断……」
コンソールの脇に膝をついたクロノアが、煤で汚れた手で端末を掴み、絶望に震える声で呟いた。
「未来予測モデル……消失。……艦長、航路が見えません」
彼女の目から、光が失われていた。
生まれた時から中央の完璧な数式に守られ、そのレールの上を歩くことだけを教えられてきた天才少女にとって、中央の沈黙は「世界の終わり」と同義だった。
「未来が……ありません……。私たちには、もう逃げる場所なんて……」
「クロノア」
瓦礫を踏みしめ、レイヴンが彼女の傍らに歩み寄った。
コートの裾は焦げ、額には血が滲んでいたが、その眼差しには揺らぎ一つなかった。
「中央が見えないのか」
レイヴンは、静かに問いかけた。
「それとも……お前自身にも、何も見えないのか?」
「え……?」
クロノアが弾かれたように顔を上げる。
「中央の綺麗な予測線は消えた。だが、お前が張った観測網(Evidence Network)のセンサーまで死んだのか? お前のその目は、何のためにある?」
クロノアは息を呑み、震える指先で手元のサブコンソールを叩いた。
中央のフィルターを通さない、生のデータ。
ノイズだらけで、荒れ狂い、不確定な確率の波が、画面の奥で確かに息づいていた。
「……生きています。局所観測網、まだ生きています!」
クロノアの瞳に、急速に光が戻る。
「ですが……ノイズが多すぎます。確度が低すぎて、安全を保証できません!」
「保証なんか要らん」
レイヴンは即座に言い切った。
「生き残れる可能性を出せ」
「了解……!」
クロノアは血の滲む唇を噛み締め、猛然とキーを叩いた。
中央の教本を捨て、彼女自身の知性とPHALANXの全センサーを総動員して、混沌の海から可能性の糸を手繰り寄せる。
数秒後、三本の歪な航路がホログラムに浮かび上がった。
「算出完了! 候補は三つです!」
クロノアは切迫した声で告げた。
「ルートA:敵包囲網の薄い外縁を突破。生存率、41%」
「ルートB:先ほどの乱気流の余波へ突入。生存率、37%」
「そして……ルートC。局所的な歪曲の裂け目を利用する超高重力スイングバイ。ただし……不確定要素が多すぎて、判定不能(アンノウン)です!」
クロノアは即座に補足した。
「推奨はルートAです。確率上、最も生存性が高い。……ですが、確証はありません」
レイヴンは、三本の航路を見比べた。
敵の配置、自艦の推進力、装甲の残量、そして背後の民間船。
彼のRAVEN-EYEが鈍いシアンの光を放ち、戦場の現実を冷徹にスキャンしていく。
そして、言った。
「Cだ」
「な……!?」
クロノアが息を呑んだ。
「艦長、Cは計算不能です! 生存確率すら出せない、完全な暗闇なんですよ!?」
「違う」
レイヴンは手動操縦桿に力強く手をかけた。
「計算できないだけで、航路がないとは言ってない」
レイヴンはクロノアを振り返り、微かに、本当に微かに口角を上げた。
「お前が波を見ろ。……責任は、俺が持つ」
その言葉が、クロノアの胸の奥深くに突き刺さった。
正解を求め、失敗を恐れて立ちすくんでいた彼女の心を、泥臭い現場の覚悟が打ち砕いた。
そうだ。未来は計算機に与えられるものではない。
不確実な闇の中に、自らの手で切り拓くものだ。
「……了解!!」
クロノアの声から、迷いが完全に消え去っていた。
「ルートCの微細な重力波形、リアルタイムで直結します! 艦長、舵を右舷40度へ!」
「応ッ! PHALANX、機関全開(フル・バースト)!!」
大破した装甲を軋ませ、要塞艦PHALANXが唸りを上げた。
シアンの眩い光芒が虚空を焼き、艦は計算不能の暗黒の裂け目――誰も通ったことのない「第三の未来」へと、猛然と突き進んでいった。
エピローグ
激しい閃光が収まり、崩壊した空間の裂け目から、PHALANXの艦影が完全に消え去った。
後に残されたのは、冷たい静寂と、漂う宇宙の塵だけだった。
赤黒い歪みの中に佇む、巨大な廃艦のブリッジ。
黒いフードを被った鉄仮面の男――幻影提督は、PHALANXが消え去った虚空を、ただじっと見つめていた。
背後から、機械化された副官の声が響く。
「……目標艦、観測限界を突破して離脱しました。追撃しますか、提督」
幻影提督は、すぐには答えなかった。
沈黙が支配する中、彼はゆっくりと右手を上げ、追撃を制した。
「必要ない」
「しかし、あの艦を見逃せば、いずれ中央との秩序の調和に歪みが生じます」
「調和など、最初から存在せんよ」
幻影提督は、冷徹な声の奥に、わずかな感情を滲ませて呟いた。
「中央の描いた美しい檻を捨て、計算不能の闇へ自ら飛び込んだか。……ふっ」
鉄仮面の奥、二つの双眸が怪しく細められた。
それは誰に向けたものでもない、宇宙の深淵へと消えた旧友への、静かな手向けのような言葉だった。
「……気づいたか、ジン」
漆黒の宇宙に、重厚な電子音が響き渡り、画面が完全な暗転へと沈んでいく。
(第1話 了)
次回予告
相沢クロノア(語り)
中央の予測を失った私たちが辿り着いたのは、地図に存在しない死の宙域でした。
漂流する無数の残骸、歪められた過去の記録。
そして艦長の口から語られる、かつて失われた船団の真実――。
次回、PHALANX
第2話:『失われた世界線』
未来は、まだ確定していない!!