事業者はプレミア価格(40円/kWh~24円/kWh)の年に設備認定を貰い、システム価格(ソーラーパネル、パワーコンディショナーなどの基幹部品)の値下がりを待っています。
建築費を抑えて利益を底上げしようと企む不正事業者が要る為、いくらまっても工事をしない事業者が後を絶ちませんでした。
未稼働案件が多数ある為、電気代に上乗せして徴収していた再エネ賦課金の増大を問題視した政府はついに動き出しました。
改正FIT法により以下の様な対応を取っています。
改正FIT法
2017年4月
- 2016年8月1日以降に電力会社との接続契約を締結し、3年以内の運転開始期限を設ける。
2018年12月
- 2012年度~2014年度にFIT認定を受けた産業用太陽光発電のうち、2016年7月31日までに接続契約を締結した未稼働案件は、2019年4月1日までに着工申込みがなされた案件はFIT認定を受けた売電価格で、以降に申し込みがあった場合は2年前の売電価格が適用
- 2019年4月1日から1年を運転開始期限とする
- 以降着工申込があった場合は月ごとに運転開始期限を減額
- 建設工事が着手済みある事が分かる公的な書類がある2MW以上のメガソーラーは今回の措置の対象ではない。
まぁ要約すると、工事をさっさと始めなさい、さもなくば売電価格を減額するし、FIT認定取り消すぞ!
と怒っているわけですね。
となると、こういう未稼働太陽光発電が工事に着手する事案が多分に世に出てくる事になります。
どのくらい未着工太陽光発電施設があるかと言うと・・・。
資源エネルギー庁既認定案件による国民負担の抑制に向けた対応(事業用太陽光発電の未稼働案件)より抜粋
実に2352万Kwもの太陽光が宙ぶらりんのまま工事すら始まっていないというのです。
ただ単純に、建設費を抑えるために工事を進めなかったという理由だけではないようです。
未稼働太陽光発電の工事未着工の理由
- 建設地が山の中で林野庁の許可がなかなか下りなかった。
- 鉄塔が近くを通っていない為、電線を引っ張ることができなかった。
- 電力会社の出力抑制に引っかかり接続契約に待ったをかけられた。
- 地元住民の理解を得る為、環境アセスメントの調査に時間を要した。
- 上記理由で銀行の融資を断られた。
など様々ですが、こういう掘り出し物の案件が続々と世に出てくるのではないかと思われます。
経済産業省 FIT 制度における事業用太陽光発電の未稼働案件への新たな対応について(修正点の概要)より抜粋
FIT認定時に取得したプレミアム価格である40円/kWh~32円/kWhの売電価格を維持する為にも事業者は是が非でも太陽光発電施設を作りたがるはずですので、金利が高いソーシャルレンディングを利用するのは理にかなっているのではないかと私は見ています。
太陽光発電ファンドを提供しているソーシャルレンディングサービスはこの3つだ
個人がお宝物件である太陽光発電に投資できるって相応にして無いと思うんですよ。
実物投資だと、4000万円だとか、1億円だとか多額の資金が必要です。
しかもローン組まなきゃいけないし、すでにプレミア価格の太陽光発電は市場からもう消え始めており、残ったのはちょっといわくつきの物件ばかり。
20年も長期にわたって太陽光を運営していく事に対するリスクも健在するなかで、少しでもリスクを低減するには、手軽に1万円という少額から始められて、運用期間が6ヶ月とか1年とか短い期間で高い利回りを確保する投資手法ってなかなかないと思います。
それが実現できるソーシャルレンディングサービスを利用すればいいわけです。
実際にソーシャルレンディングが提供している太陽光発電ファンドを見ていきましょう。
SBIソーシャルレンディング
玄海インベストメントアドバイザー社と協業でファンドを組成して定期的に太陽光発電案件を募集しています。
資金使途は太陽光発電建設の土地取得、建設資金やFIT権利の取得、既存債務の借り換え資金など
利回り(年利):5.0%~9%
運用期間 :9か月~24ヶ月
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金融界の大御所SBIグループのソーシャルレンディングの担当者様にも恐る恐る話を聞いてみた。
SBI証券やSBIネット銀行、SBI損保など、様々な金融商品を扱い金融界の最大手、大御所であるSBIグループのSBIソーシャルレンディングさんの担当者様に質問してみました。 様々な金融事業を行っている ...
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クラウドバンク
限定情報の為、この場で貸し手先を公にしてはダメなので言えませんが、比較的大きな貸し手が順次募集をかけています。
また、クラウドバンク自ら特別目的会社(SPC)を作って太陽光発電所を建設する目的で募集をかけている事もあります。
資金使途は太陽光発電建設の土地取得、建設資金、借り換え資金など
利回り(年利):6.7%~8%
運用期間 :3か月~15ヶ月
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【クラウドバンク】さすが証券会社!眩しい位にコンプライアンスがピッカピカ!資産運用を任せられるか担当者様に質問してみた。
超低金利時代の日本にソーシャルレンディングという新たな投資機会を我々に提供しているクラウドバンクさん。 しかしながら、その新しい投資方法ゆえに不安もあるのも事実です。 大切なお金を預け、長きにわたる資 ...
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SAMURAI証券
サムライ証券も実績ある比較的大きな太陽光発電施工会社に貸付を行っています。
資金使途は太陽光発電施設の建設資金、返済原資は売却またはリファイナンス
利回り(年利):8%
運用期間 :12ヶ月
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SAMURAI(サムライ)証券安心して投資ができる環境が構築できているか担当者様に質問してみた。
ソーシャルレンディングの中ではクラウドバンクと同じ証券会社が運営している第一種金融商品取引業者でもあるSAMURAI(サムライ)証券。 元々はスマートエクイティというソーシャルレンディング会社が運営し ...
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太陽光発電投資は鉄板中の鉄板なのか?
上記で示したソーシャルレンディングを通した太陽光発電はどれもこれも貸倒れもなく、これまでもデフォルト、元本毀損がない投資です。
という、安易な気持ちで適当に案件を決めて投資してはいませんか?
大切なお金を20年30年と超長期にわたって運用すると、必ずやデフォルトや貸倒れに遭遇すると思います。
投資する前にまず知ってほしい、確認しておきたい事柄を見ていきましょう。
貸し手先の情報
貸し手の匿名化時代、貸し手がA社だのB社だのと固有記号を使って太陽光発電事業を行う事業資金に使います。
という漠然とした内容でファンドを募集していました。
が、金融庁の匿名化解除で一気に貸し手の詳しい内容が公表されました。
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匿名化解除!融資先開示でソーシャルレンディングはどう変わる?各会社対応状況まとめ
金融庁が匿名化の解除を2019年年3月18日に発表しました。 これによると・・・。 借り手が法人で匿名組合契約の場合に限り、借り手の情報開示がOK。 との事で、借り手がどこの誰なのか? 財務状況の健全 ...
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しかし、公表されてもこういった貸し手の情報って大概SPC(特別目的会社)への貸付けが多い。
SPCって、ソーシャルレンディングととても相性が非常にいい。
資金を募って投資家に分配金を配る為だけの会社ですから、太陽光発電ファンドもこの形式を取っているファンドが非常に多い。
財務状況が載ってはいますが、太陽光発電施設を作る為だけに作られた会社なので、なんらあてになりません。
ただ単純にSPCだから、財務状況が芳しくないから、わけわからんから投資対象から外すのは実に勿体ないと思うんですよ。
とりあえず、SPCの企業名で検索を掛けてみてください。
全国法人情報データーベース内に掲載しているSPC(特別目的会社)の住所が載っています
その住所から辿っていくとSPCを設立した親会社に行き当たります。
また、設備名称でくぐると、親会社のHPに行きつく場合があります。
親会社が判明したら、会社概要覧から、
- 今までどのような事業を展開してきたか?
- 社長の経歴は?
- 資本金は?
- もしあるらなら、財務状況を確認
会社の健全性が見えてきます。
太陽光発電の土地を確認
太陽光発電施設を建築する土地を確認しましょう。
災害危険度を調べる
まず初めに建設予定地がどのような災害危険度があるのか認識する事が重要です。
各ソーシャルレンディング会社もこの事も考慮に入れて審査はしているとは思いますが、こちら側でも確認してみることをおすすめします。
投資運営中に風水害が見舞われてしまったら、元本毀損は免れませんからね。
リスクをできるだけ排除させるにも重要な確認事項です。
国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」で担保物件の住所で検索。
確認ポイント
- 急傾斜地の崩壊
- 土石流
- 地すべり
- 土石流警戒渓流
- 急傾斜地崩壊危険箇所
- 地すべり危険箇所
- 雪崩危険箇所
等が調べられます。
太陽光発電建設予定地は概ね山間部に作るので、こういった災害が発生しそうな土地は極力避けるのがベターな選択ではないでしょうか。
特別警戒区域や警戒区域に該当している場合は当然、特別警戒区域に該当していのはもっとも避けるべきです。
また、近年地球温暖化によりゲリラ豪雨や台風の被害が増加傾向です。
気象庁の発表から取ってきた1975年~2015年にかけて80㎜/時間の年間発生回数ですが、年々増加傾向にあります。
中小企業庁平成30年災害救助法適応実績(97年~17年)より抜粋
1997年~2017年にかけての災害救助法の適用実績をみてみると、西日本、特に九州地方が多い事がわかります。
これは地震や大雨、土砂崩れ等による人的被害、自然災害の発生リスクが高い事を意味しています。
でも、ソーシャルレンディングのファンドは太陽光発電を運営する為の案件ではなく、建設に伴う融資なので、運用期間が6ヶ月、1年と短いので、元々自然災害リスクを大幅に削減している投資手法と言えなくもない。
太陽光発電の運営 | 太陽光発電建設に伴う融資 | |
投資期間(運用期間) | 20年 | 3ヶ月~2年 |
土地価格を調べる
太陽光発電を建設する土地は大体、遊牧地や林野地などといった、遊んだ土地の有効活用として田舎の土地が選ばれるわけですが、いざ担保権を行使しようとすると二束三文の価格しかないのが最大のリスク
事業が失敗した場合、担保として押さえている土地を売却する場合、相応にして破格の値段であることを注意しなければなりません。
遊牧地や林野地などの価格をどのくらいなのか調査すると、地域や場所、山、裾野など場所によりまちまちですが大方下記の価格帯に納まるのではないかと思います。
100円/㎡~200円/㎡当たり
こんな価格では土地だけ売っても元本毀損してしまいます。
追加担保として以下が設定されています。
追加担保
経産省から太陽光発電を作ってもいいよという権利がIDとして発行されていますが、この権利を他社に売却できる設定になっている。
電力会社との接続契約等が終結されていて、譲渡できる形になっている。
しかし、この追加担保がまた曲者です。
くぐってみると、
上記サイトで掲載されている事例から、大体の相場は分かりますがはっきりとした答えが出ない。
ココに注意
どのくらいで売れるかわからないのです。
これもリスクになりやすい。
売電価格を確認する
産業用(全量買取・税別) | ||
10kW以上2,000kW未満 | 2,000kW以上 | |
2012年 | 40円/kWh | |
2013年 | 36円/kWh | |
2014年 | 32円/kWh | |
2015年~6月30日 | 29円/kWh | |
2015年7月1日~ | 27円/kWh | |
2016年 | 24円/kWh | |
2017年 | 21円/kWh | 入札制度で決定 |
2018年 | 18円/kWh | |
2019年 | 14円/kWh |
国の方針で上記表のように年々下がり続ける売電価格。
ですが、冒頭で書いたように、未稼働太陽光施設の工事に着手する事案が多分に世に出てくる事を考えると、2012年~2014年のプレミア価格の40円/kWh~32円/kWhのファンドはぜひ投資したい案件の一つになりえます。
また、今後工事申し込み書類が揃わず売電価格が低下してしまった案件である2015年以降の物も多分出てくる事が予想され、個人で太陽光発電に参入するには売電価格の低下してしまった現在では障壁ですが、メガソーラー級はまだまだ太陽光発電バブルは終わってはいないのではないかと思われます。
まとめ
冒頭でも説明していますが、工事をさっさと始めなさい、さもなくば売電価格を減額するし、FIT認定取り消すぞ!と事業者に重い腰を上げるスタンスを取っています。
その為、こういうソーシャルレンディングで募集をかけている太陽光発電の融資は
ココがポイント
- 山林の場合は林野庁の開発許可を得ている。
- 田畑の場合は農地転用の許可が見込まれている。
要は、開発の許可が下りている案件しかファンドを組成していないという事であり、計画が頓挫することは少ないであろうと思われます。
しかし、地元住人や自治体の許可が下りていない場合もあることに注意が必要です。
自然でエコであるという印象が強い太陽光発電ですが、人間が作った建築物にはトラブルが付き物です。
高い利回りの裏にはリスクがあることを念頭に置いて、自分に見合った投資ライフをエンジョイしましょう。